鉄道は科学の入口

こんにちは。交通技術ライターの川辺謙一です。

今回は、鉄道に興味を持ったお子さんの親御さんに向けて、「鉄道は科学の入口」という話を書かせていただきます。

科学」は、ざっくり言うとこの世で起きていることを調べ、その仕組みを解き明かす手段です。

もし身近な乗り物である鉄道に興味を持ち、それを通して見識を広げ、物事を整理して考えることができたら、それは「科学」の考え方を身につけることにつながります。

だからこそ「鉄道は科学の入口になる」と私は考えています。
なぜならば、私自身が鉄道を通して科学に興味を持ち、大学や大学院で科学を学んできた人間だからです。


(ここから下は、鉄道に興味を持ったお子さんの親御さんに向けて書きました)

お子さんが鉄道に興味を持つと、鉄道を利用するたびに「なぜ線路に石が敷いてあるの?」「電車はどうやって動くの?」などと聞いてくるでしょう。これは科学の考え方を身につけるチャンスです。身近なものに素朴な疑問を持つことは、対象物をよく観察し、整理して考えるきっかけになるからです。これは、科学的な思考を身につける上でとても大切なことです。

鉄道は、さまざまな学術分野と密接な関係があります。下の図をご覧ください。

川辺謙一著『鉄道を科学する』SBクリエイティブ2013年 p35より引用。『鉄道工学』森北出版2000年 p6,図1.2を参考にして作図。

たとえば鉄道技術を支える鉄道工学は、土木・建築・機械・電気など多くの工学分野と関係があるので、総合工学とも呼ばれています。また、鉄道は人間が利用する乗り物なので、心理学や人間工学、生物学、医学とも関係しています。つまり、お子さんが鉄道に興味を持つと、大学で学ぶような専門分野にも興味の幅を広げることができるのです。

だからこそお子さんが素朴な疑問を感じたら、ぜひ一緒に考えてあげてください。たとえば列車に乗ったり、線路の近くで列車を見たり、鉄道のイベントや博物館に行ったときに、お子さんが興味を示すものがあれば、それを一緒にじっくりと観察し、役目などをおおまかに推測するだけで結構です。それはご自身の視野を広げるチャンスにもなるでしょう。

※この記事は、学研の絵本『よいこのくに』2018年7月号に掲載された私のコラムをベースにして、加筆・修正したものです。

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